このたび、日聴紙10月1日号を発行いたしました。
そろそろ、皆さまのお宅に届いている頃ではないでしょうか。
まず、1面の記事からご紹介いたします。
先日の8月20日に広島市北部で一時間100㎜を超えるほどの豪雨により、土砂流で被災され、亡くなられた多くの方々に心よりお悔やみ申し上げます。
この災害で広島市がろう当事者にお詫びされました。どういうことかといいますと、緊急ファクスですね。事態を知らずにいたこともあって、ファクス通知がかなり遅れてしまったということで、広島市ろうあ協会と他、一団体にお詫びされたというものです。今後、人的支援がいっそう必要だとの課題が出ています。広島市には各区に職員としての手話相談員が配置されています。これからも積極的に支援していけるようにしていただきたいと思っております。
2つ目は明るい話題です。北海道内で3つ目の手話に関する条例が制定されたのです。全国では6つ目にあたります。北海道内の3件で、一つ目は石狩市、二つ目は新得町、三つ目は鹿追(しかおい)町です。新得町の北方面の隣町です。この町での条例が10月1日より施行されるようになりました。このような取り組みが全国に広がっていければと思っております。北海道ろうあ連盟の蠣崎理事長が議場内で演壇にあがって所感を含めたあいさつを述べられました。20人の傍聴者に町特産のヨーグルトが配られていました。自分も食べてみたくなりました。ぜひ、あなたも鹿追町に飛んでいって、楽しい時を過ごしてみませんか。
また、他のうれしいお知らせもあります。高校生が頑張っています。いま各地で、手話――等で、ろう者とのコミュニケーションをはかることが必要という認識が広まっていますが、このたび、第31回の全国高校生の手話スピーチコンテストを、朝日新聞社と全日本ろうあ連盟との共催で、東京都でおこないました。
本番のコンテストの前に、いつもは秋篠宮妃殿下が手話でおことばを述べられていたのですが、今回はご長女の眞子さまが流暢な手話でごあいさつなさいました。その美しい表現にいたく感動いたしました。この表現に驚くとともに、手話に関心を高く持っていただいたことに対し、大変うれしく思いました。
コンテストの優勝者は、高知県の高校三年の方です。あの坂本龍馬と、下の一字だけが異なる、珍しいお名前の方が優勝しました。彼のスピーチ内容は、今後、ろう者がコミュニケーションに困らないように、社会の中で理解を深めていくことが大切なことであるとの話でした。
次は、皆さんご存じの盲導犬虐待事件です。ろう者対象の補助犬の場合は、聴導犬といいます。自分で考えた手話はこのように表します。この事件は、視力障害者が盲導犬と一緒に歩いているところを、知らずにフォークで犬が刺されていた、それでも犬は痛みに耐えていて、事後に傷が他の人によって発見されたという痛ましい事件に「対し、日本聴導犬協会の会長にコメントを寄せてくださっています。
聴導犬に関わる問題も似たような問題で、外見で補助犬であることを理解いただき、社会にその補助犬の意義を理解いただけるよう、社会資源のあり方についてともに考えていかなければいけない、というようなことを述べられています。ぜひ、ともに考えていきましょう。
次は、9月11日、全日本ろうあ連盟の元副理事長で、元手話通訳対策部長で30年、長く連盟の役員活動されてこられた板橋正邦さんが亡くなられました。享年77歳です。彼はこれまで、アイラブパンフ普及運動を牽引してきました。また、全国手話通訳問題研究会の結成に尽力され、世界ろう者会議の日本開催への誘致をされたことがきっかけで、東京での開催を実現させるなど、多くの実績を残されました。今度の11月2日に偲ぶ会が福島県で催されることが決まりました。心よりお悔やみ申し上げます。
最後に、本紙6,7面で、鳥取県で昨年10月8日に手話言語条例が制定されてから一年ということで、この一年間の流れ、学校や企業、市民対象の講習会の回数、予算案がいくら使われているか、など、様々な情報が載っています。これらを参考にしていただいて、今後、全国各地での条例作りの参考資料にご活用いただけると思いますので、ぜひ、お読みいただくだけで終わるのでなく、皆さんで一緒に勉強を実施しながら、頑張って取り組んでいきたいと思っております。
では、また来月号お知らせにてお会いしましょう。